「これから配属先への辞令を渡す。新人の君達はまず各チームのチーフの下について仕事を覚える様に。訓練中何度も聞いたと思うが、警護対象者の安全確保とプライベート面を含めた秘密厳守、これだけは忘れないでもらいたい。」
「はい!!」
フロアーに集まった二十人ほどの新人SP。
日本支部所長の説明を聞いた私達はこれから配属先に振り分けられる。
誰がどの要人に付くのか、東京なのか地方なのか、男性か女性か、不安がはあったが、それ以上に期待の方が大きかった。
誰かにとって大切な人を護る。
それは財界人、芸能人、スポーツ選手?もしかしたら宝くじの高額当選者かもしれない。
どこの誰だろうと最善を尽くすだけ。
「はい、牧野さん、頑張ってね。」
「はい、頑張ります、佐々木副所長!!」
私をこの道に誘ってくれた女性、佐々木薫日本支部副所長。
彼女から辞令を受け取った私はドキドキしながら書類を開いた。
へっ?
「辞令を受け取った者は外で待機しているチーム長に付いてそれぞれの部署に向かってくれ、以上、解散!!」
うそ......?
「えええ―――?!」
「佐々木副所長、どうして私の配属先がここなんですか?!」
「佐々木でいいわよ、牧ちゃん。」
「はい...じゃなくて、どうしてですか?!」
「まあ、落ち着いて、まず座りなさい。」
もうフロアーには誰も残っていない。
皆、それぞれの部署に散っていった。
「どうしてって言われても、依頼主の条件にあったSPがあなたしかいなかったのよ。」
「それって変じゃありませんか?!」
「変?どうして?相手は日本きっての大会社よ、いいえ世界でも10本の指に入るくらいの企業、その会社からの依頼に何が不満なの?」
「だから絶対おかしいですって、あそこには特殊部隊並みのSPがいるんですよ?」
「あら、ずいぶん詳しいのね。」
「あ...と、だから噂で色々と....そんなことはどうでもいいんです!どうしてわたしが..」
「牧野さん!」
それまで笑顔で話していた女性が急に真剣な表情になった。
「確かにあの会社には優秀なSPがいる、でもずっとアメリカにいたから日本に土地勘がないの、それって守る側にしたら不安材料になるでしょう?それに激務続きで女性のSPは皆辞めてしまったらしいわ、でも時と場合によっては女性SPが必要なこともあなたにも分かるわよね?知っての通り日本でも女性SPは数人、ましてや英語が堪能な人となると......あなたには大変な思いをさせてしまうかもしれない、それでもあなたにお願いするしかないの、いいえ、これは業務命令よ。」
「う.......」
言葉を失った。
業務命令、この言葉を出されてしまっては、余ほどの理由がない限り拒否は出来ない。
ただ嫌なだけ...そんな私個人の感情で断るなんて無理だ。
「はぁぁ.....分かりました。」
「本当に大変だと思うけど、あなたはガッツがあるから大丈夫よ、信じてるから頑張ってね、牧ちゃん。」
にこやかに笑う女性の前で深く項垂れたつくし。
その時、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい、牧野!!何やってるんだ!!」
「え、あ、はい!!」
「遅れるぞ、ボヤボヤするな!!」
「はい、すみません!!じゃ、失礼します佐々木副所長!!」
つくしは慌ててお辞儀をするとフロアーの外に向かて走り出す。
そんな彼女の後姿を見送りながらショートカットの女性は深く息を吐いた。
「英語が堪能で二十代、身長は160センチ、黒髪で化粧っ気のない、そして依頼主を聞いて速攻断ってくる......こんな条件に合うの女性って、あなたしかいないでしょう?」
世界有数の大企業、道明寺ホールディングス。
本日付で日本支社長に就任。
「道明寺司.....いったい何を考えているのかしら....]
「はい!!」
フロアーに集まった二十人ほどの新人SP。
日本支部所長の説明を聞いた私達はこれから配属先に振り分けられる。
誰がどの要人に付くのか、東京なのか地方なのか、男性か女性か、不安がはあったが、それ以上に期待の方が大きかった。
誰かにとって大切な人を護る。
それは財界人、芸能人、スポーツ選手?もしかしたら宝くじの高額当選者かもしれない。
どこの誰だろうと最善を尽くすだけ。
「はい、牧野さん、頑張ってね。」
「はい、頑張ります、佐々木副所長!!」
私をこの道に誘ってくれた女性、佐々木薫日本支部副所長。
彼女から辞令を受け取った私はドキドキしながら書類を開いた。
へっ?
「辞令を受け取った者は外で待機しているチーム長に付いてそれぞれの部署に向かってくれ、以上、解散!!」
うそ......?
「えええ―――?!」
「佐々木副所長、どうして私の配属先がここなんですか?!」
「佐々木でいいわよ、牧ちゃん。」
「はい...じゃなくて、どうしてですか?!」
「まあ、落ち着いて、まず座りなさい。」
もうフロアーには誰も残っていない。
皆、それぞれの部署に散っていった。
「どうしてって言われても、依頼主の条件にあったSPがあなたしかいなかったのよ。」
「それって変じゃありませんか?!」
「変?どうして?相手は日本きっての大会社よ、いいえ世界でも10本の指に入るくらいの企業、その会社からの依頼に何が不満なの?」
「だから絶対おかしいですって、あそこには特殊部隊並みのSPがいるんですよ?」
「あら、ずいぶん詳しいのね。」
「あ...と、だから噂で色々と....そんなことはどうでもいいんです!どうしてわたしが..」
「牧野さん!」
それまで笑顔で話していた女性が急に真剣な表情になった。
「確かにあの会社には優秀なSPがいる、でもずっとアメリカにいたから日本に土地勘がないの、それって守る側にしたら不安材料になるでしょう?それに激務続きで女性のSPは皆辞めてしまったらしいわ、でも時と場合によっては女性SPが必要なこともあなたにも分かるわよね?知っての通り日本でも女性SPは数人、ましてや英語が堪能な人となると......あなたには大変な思いをさせてしまうかもしれない、それでもあなたにお願いするしかないの、いいえ、これは業務命令よ。」
「う.......」
言葉を失った。
業務命令、この言葉を出されてしまっては、余ほどの理由がない限り拒否は出来ない。
ただ嫌なだけ...そんな私個人の感情で断るなんて無理だ。
「はぁぁ.....分かりました。」
「本当に大変だと思うけど、あなたはガッツがあるから大丈夫よ、信じてるから頑張ってね、牧ちゃん。」
にこやかに笑う女性の前で深く項垂れたつくし。
その時、背後から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい、牧野!!何やってるんだ!!」
「え、あ、はい!!」
「遅れるぞ、ボヤボヤするな!!」
「はい、すみません!!じゃ、失礼します佐々木副所長!!」
つくしは慌ててお辞儀をするとフロアーの外に向かて走り出す。
そんな彼女の後姿を見送りながらショートカットの女性は深く息を吐いた。
「英語が堪能で二十代、身長は160センチ、黒髪で化粧っ気のない、そして依頼主を聞いて速攻断ってくる......こんな条件に合うの女性って、あなたしかいないでしょう?」
世界有数の大企業、道明寺ホールディングス。
本日付で日本支社長に就任。
「道明寺司.....いったい何を考えているのかしら....]